山本貞(1934~):自然環境の美しさに迫った洋画家
二紀展初入選から渡米まで
山本貞は、1953年に二紀展に初入選を果たし、若手画家として注目を集めた。その後も二紀展への出品を続け、1957年には二紀展賞を受賞した。二紀展とは、1914年に結成された日本美術院系の洋画家の団体で、官展とは異なる新しい芸術運動を目指した。二紀展は、西洋の写実主義や印象主義の影響を受け、自然の美しさや人間の感情を表現することを重視した。山本貞も、二紀展の画家として、自然の美しさや人間の感情を表現することを目指して制作を続けた。
1959年、山本貞は渡米し、ニューヨークで生活を始めた。ニューヨークでは、アメリカのアートシーンに衝撃を受け、新しい表現方法を探求するようになった。また、ニューヨークでは、多くの芸術家や美術評論家と出会い、交流を深めた。ニューヨークでの生活は、山本貞の芸術観に大きな影響を与え、その後の作品に大きく反映された。
渡米から帰国後、山本貞は二紀展への出品を続け、1965年に二紀展特選を受賞した。また、1967年には第1回現代日本美術展に出品し、優秀賞を受賞した。現代日本美術展とは、1967年に創設された新しい美術展で、日本の現代美術を世界に紹介することを目的とした。山本貞は、現代日本美術展にも出品を続け、1973年には現代日本美術展大賞を受賞した。
山本貞は、1974年に二紀会会員に推挙され、1980年には二紀会理事長に就任した。二紀会理事長として、二紀展の運営や日本の洋画の発展に尽力した。また、山本貞は、国内外の美術館やギャラリーで個展やグループ展を開催し、その作品は国内外で高く評価された。山本貞は、2008年に死去したが、その作品は現在も多くの美術館やギャラリーで展示されており、人々に親しまれている。